性癖

常に身軽でありたいと思っているし、その考えを割と実行している方だと思う。

身軽でありたい。

なんで、って言われそうだけど、ストレートに言うならば「いつでも死ねるように」これが本心。

別に死にたいほどなにかに深刻に悩んでいる訳じゃない。
だけど、生きている理由も見当たらない。

そんな感じ。

以前、死にかけた事があった。

アル中から抜け出せず、酔いが脳みそに綺麗に回っていた私は、死にたいという自分の素直な欲求を満たそうとしてしまった。

口に指を突っ込まれマーライオンの如く吐かされるのは二度と御免だが、アルコールと共に薬を大量に服用して意識が遠のきかけたあの瞬間は本当に幸福だったし、ゾクゾクした。

悲しみなど一切ない、ただただ純粋に死にたいという欲求を満たしかけたんだから、当然だと思う。

よほど死にたい欲求になんかしら理由があれば、まだいいのかもしれない。

でもない。

もはや性癖のように、その後も死にかけては人に助けられてギリギリで戻るという事を繰り返した。

こういう事を繰り返すと深刻な理由があると勘違いされて邪魔されかねない、そう思った私はある日から死のうとするのを辞めた。

浴びるように飲んでいたアルコールも辞めた。


最近、アルコールを口にする機会がまた増えて、ふと以前の事を思い出した。

以前とは違って周りには人がいる、恋人もいれば友達もいる、夢もある。
生きる理由はまあまああるだろう。

だけど相変わらず、死ぬ事への希望は強いし、死が欲しくて堪らない。


もはや性癖のように。

いつこの性癖が満たされるかはわからないけど、理由がなくなったら、或いは嫌になったら、そのときはお楽しみにしといたこの性癖を満たそうと思う。


悲しくはない、楽しみにしている。
少なからず、私は